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最高裁判所第一小法廷 昭和42年(オ)864号 判決 1968年6月13日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由第一点について。

原判決(その引用する第一審判決を含む。)は、第三者異議の訴の係属中に強制執行が終了した場合には、右訴はその利益を失い、右強制執行による損害賠償を請求するためには、訴の変更をすることを要すると判示しているのである。原判決の右判示はもとより正当として是認することができる。所論は違憲をいうが、その実質は単なる法令違反の主張に過ぎず、原判決には何等所論の違法はない。所論は、畢竟、原判決を正解しないで、これを論難するものであるから、採るを得ない。

同第二点について。

損害賠償を請求するためには訴の変更をすることを要するとする原判決の判断が正当であることは、すでに説示したとおりである。所論は、独自の見解に立つて原判決を非難するものであつて、採るを得ない。また、引用の大審院判例は、本件とは事案を異にし、毫も本判決の判旨と矛盾するものではない。

同第三点について。

所論違憲の主張は、実質は単なる法令違反の主張に過ぎない。そして、本件記録によれば、被上告代理人は控訴審の口頭弁論期日において当事者双方に係る第一審口頭弁論の結果を陳述しているから、原判決に民訴法三七七条二項違反があるとする所論は、理由がない。されば、原判決には何等所論の違法はなく、論旨は、採るを得ない。

同第四点について。

所論違憲の主張は、実質は単なる法令違反の主張に過ぎない。そして、原判決は、強制執行が不法行為を構成する場合には、その終了後においては、その損害賠償の請求をすることができる旨を判示している。されば、所論は原判決を正解しないことに基因するものであつて、原判決には何等所論の違法はなく、論旨は、採るを得ない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松田二郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

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